摂食障害 Q&A

Q.摂食障害はどんな病気ですか?
A.食事の量や食べ方など、食事に関連した行動の異常がみられ、体重や体型のとらえ方などを中心に、心と体の両方に影響が及ぶ病気をまとめて摂食障害と呼びます。
摂食障害では、必要な量の食事を食べられない、自分ではコントロールできずに食べ過ぎる、いったん飲み込んだ食べ物を意図的に吐いてしまうなど、患者さんによってさまざまな症状があります。症状の内容によって、摂食障害は細かく分類されます。代表的な病気に神経性やせ症、神経性過食症があります(それぞれの病気の詳しい説明は「摂食障害はどんな病気?」を参照してください)。
摂食障害の患者さんでは、うつ病や不安症、強迫症などその他の心の病気を伴うことが少なくありません。また、低栄養や繰り返す嘔吐や下痢などのために体にも異常がみられるようになることがあります。
摂食障害は治ることが期待できる病気です。しかしながら、重症化してしまうと命にかかわることがあります。早期に適切な治療を受けることが望ましいといえるでしょう。
Q.摂食障害にはどのような治療がありますか?
A.治療は、診断を確定すること、心と体がどのような状態なのか判断することがまず第一歩になります。診療は通常、問診から始まります。どのような症状が、いつからあらわれ、どのように変化してきたのかなど、経過をお聞きします。また、発症のきっかけは何か、体重の変化があるのか、やせたい気持ちや自分の体重や体型についての考え方など、細かい点を確認します。さらに、幼少期の話や日常生活の様子などさまざまな視点からお話をうかがいます。体については、診察や、血液検査をはじめとする検査を必要に応じて行ない、栄養状態はどうか、他の体の病気で摂食障害に似た症状がみられている可能性はないか、また摂食障害の影響で体に異常がみられないかを判断します。
治療法は基本的な心理教育や栄養療法の他、心理療法と薬物療法が中心になります。心理教育では病気に対する正しい知識を身につけ、健康的な食生活に改善するための助言などをします。栄養療法では、栄養士による助言や、必要な場合は食事以外の補助的な栄養補給などが行なわれます。心理療法では認知行動療法や家族療法などの専門的な治療が行なわれることもあります。摂食障害に対する特効薬はありませんが、体や心の症状に対して薬を使用することがあります。なお、体に異常がみられるときはそれに対する治療が必要になることもあります。このほかに、患者さんのご家族に対して助言をしたり、環境の調整や社会的資源の利用などを勧めたりすることもあります。
入院治療を行なうこともありますが、入院が必要かどうかは、心身の状態をもとに判断されますので、担当の医師に確認されるのが良いでしょう。
(「摂食障害はどんな病気?」の「治療」も参照してください)
Q.摂食障害は治る病気ですか?治るまでの期間はどのくらいですか?
A.摂食障害は基本的には治る病気です。ただし、残念ながら一部に長期化する方や、亡くなる方もいるのは事実です。これまでにいくつかの調査が行なわれており、調査によって結果が少しずつ異なります。欧米では複数の調査をまとめた報告で 1)、神経性やせ症の寛解率(注1)は、2.5年で29%、8年で68%、16年で84%と報告されています。粗死亡率(注2)は0~8%でした。また、欧米での神経性過食症の寛解率は、1年後で27~28%、10年後で70%以上でした。粗死亡率は0~2%でした。日本でのある報告 2)では、4~11年の追跡期間で摂食障害全体として、回復が53%、部分回復16%、不良24%、死亡7%と報告されています。
摂食障害が治るまでの期間は、その病態によってさまざまで、1年~数年で治る方もいれば、十数年かかる方もいます。早く治療を開始できたほうが、回復が早いといわれており、摂食障害だと分かった時点ですぐ治療を開始することが望ましいといえます。このほかに、アルコール乱用(家庭や社会で問題が生じるような飲酒)、過食・嘔吐、下剤の大量使用、過去に治療がうまくいかなかった、治療開始時の体重が低いなどがあると回復に時間がかかる傾向があります。しかし、10年以上と長期化した方でも、「絶対治る」と気持ちを新たに強く持つことで、治療が進み、病状が改善する方もいますのであきらめずに治療を続けていきましょう。

注1:寛解率:調査の対象となった人のうち、追跡調査を行った時点で症状が軽くなったり無くなったりして摂食障害から回復したと考えられる人の割合。

注2:粗死亡率:年齢を調整しない死亡率。ここでは、調査対象となった人のうち、追跡調査を行った時点で死亡していた人の割合。

  • 1)Keel PK, et al. Int J Eat Disord 43: 195-204, 2010.
  • 2) 中井義勝, 他. 摂食障害の転帰調査. 精神医学 46: 481-486, 2004.
Q.どこからが摂食障害と言えるのですか?ダイエットをしている人はたくさんいますし、大食いの人ややけ食いをする人はたくさんいると思いますが・・・。
A.ダイエットをする人は多いですが、「普通」のダイエットと神経性やせ症との違いは、「体重を減らす」ということが意識の大部分を占めているかどうか、そして、やめようと思ったらやめられるかどうかです。神経性やせ症の患者さんは、「朝食の時、予定より一口パンを多く食べてしまったがやめておくべきだった」というような思いを一日中抱えて、他のことに集中できなくなるようなことがしばしばあります。体重が前日より100g増えていると憂うつになって出社できなくなったりもします。また、神経性やせ症の場合は、周囲からもう少し食べるように言われても食べ方をなかなか変えられません。このように、食が生活に及ぼす影響が大きい場合は神経性やせ症の可能性が高いといえます。
神経性過食症の場合、過食が始まると「コントロールできない感覚」が強く、自分では止められずに強い苦痛を味わいます。これが大食いとの違いです。たまにやけ食いをするという人はそれが気分転換になっていることが多く、罪悪感にとらわれたり、食べた後の体型を気にして絶食したり嘔吐したりすることはまれです。しかし、神経性過食症では、過食の頻度が多く、過食後の自己嫌悪感も強く、体重を減らす行動を常に伴うのが特徴です。
Q.治したい気持ちが起こりませんが・・・
A.治したい気持ちが起こらないのはどこから来るのかを考えてみたいと思います。
摂食障害の方の多くには二つの自分があるともいわれています。すなわち、病気の自分と健康な自分です。「治したい気持ちが起こらない」というのは、もしかすると病気の自分がそのように言わせているのかもしれません。あなたの病気の自分、つまりやせたい自分や摂食障害のままでいたい気持ちの方が大きくて、治したい気持ちにならないのかもしれません。
その一方で健康でいたい自分、治していきたい自分はありませんか?これが健康な自分です。
摂食障害という病気は自分自身が気づかないところで、重大な身体の問題が生じていることがあります。病気の自分に巻き込まれず健康な自分に耳を傾け、治療者や家族と協力して治していくことが大切です。
Q.摂食障害にはどんな特徴やサインがありますか?摂食障害が疑われる場合まずどうすればよいですか?
A.まず、摂食障害(特に神経性やせ症)では急激にやせたり、体重減少と増加を繰り返したりします。一日に何回も体重計に乗ったり、体重が減っているのに、まだ自分が太っていると主張したりします。
食事量が極端に減ったり、炭水化物、揚げ物、肉類、お菓子などを避けたり、低カロリーの食品ばかり食べたり、中には献立に細かく口を出す人もいます。食べていないのに「食べている」「お腹が空かない」と言い訳をしたり、人と一緒に食べるのを拒んだりします。
一方、食べだしたら止まらなくなることもあります。大量の食べ物をため込んだり、短期間で家の食べ物がなくなったりする場合は、過食のおそれがあります。
また、人一倍よく動くようになったり、下剤や利尿剤を大量にため込んだりすることがあります。食後に頻繁にトイレに行く、頬や顎の不自然な腫れ、手背の「たこ」、虫歯や歯の変色などがある場合は、嘔吐しているおそれがあります。
さらに、気分の浮き沈み、イライラ、隠し事が多くなるなどの変化も出てきます。
上記のようなサインがある場合は、摂食障害を疑って、心療内科や精神科、小児科に相談してみてください(摂食障害のサインや特徴については「摂食障害のサイン」「摂食障害のセルフチェック」も参照してください)。
Q.家族は家でどんなサポートをすればよいですか?治療中家族ができることはありますか?
A.無理に食べさせようとするのは逆効果になりかねません。まずは患者さんを問い詰めたりせずに、どうしてそのような行動を取るのか、きっかけや気持ちを聞いて受け入れてあげましょう。その上で心配していることを伝え、良くなるために何ができそうかを一緒に考えます。身体的に明らかに重症と思われる場合には、本人が嫌がっても病院を受診させる必要があります。食事や体重に関する直接的な話は医療者に任せ、できたことや良くなった点を取り上げて努力をほめてあげましょう。病気の有無で周囲の人の愛情や関心が変わることはないことを伝えることが大切です。
家のトイレを独占するなど、食行動以外のさまざまな問題も経過中にみられます。話し合ってルールを設け、過干渉や過保護を防ぎましょう。
根気強く患者さんと寄り添って治療に望んでいただくことが、何よりも大きな患者さんの支えとなります。
Q.摂食障害の原因は何でしょうか?
A.患者さんご本人も、身近に患者さんのいらっしゃる方も、「どうしてこんなことになったのだろう?」と考えてしまうことは多いと思います。今のところ、摂食障害には「これが原因」と一つに特定できるような原因が解明されているわけではなく、さまざまな因子が絡んでいるといわれています。完璧を求めやすい本人の性格などの背景があって、そこに引き金になる出来事(体型をからかわれる、試験に失敗する、ダイエットを始めるなど)が重なるというように、「原因」を「背景」と「引き金」とに分けて考えると考えやすいかもしれません(ただし必ずしも両方そろっているとは限りません)。今までに「背景」や「引き金」として指摘されてきたものとして、例えば、一卵性双生児の1人が神経性やせ症になると、もう1人が発症する率が一般より高いことから、遺伝が関与するという説もあります。しかし、双生児であっても必ず発症するわけではありません。また、やせていることを美とする社会が原因とも言われますが、同じ社会でも発症する人としない人がいます。本人の性格や家庭環境についてもさまざまな説があります。しかし、「この特徴が摂食障害を起こす」とはっきりと証明されたものはないのです。さまざまな要因が重なって発症するというのが現在の考え方です。
最近は摂食障害の原因だけでなく、摂食障害を「維持」している要因が注目されています。たとえば、やせていることや栄養が足りないこと自体が脳の働きに影響して、こだわりを強くし、柔軟に考えるのを難しくすることがわかってきました。また、食事制限が空腹感を強め過食が起きやすくなり、過食をすると体重が増えてしまうのを恐れて嘔吐したり、食事制限を強めたりしてしまい、それでまた過食しやすくなるという悪循環ができて続いていきます。摂食障害になった原因を追究することよりも、今、摂食障害が続いている仕組みに焦点を当てる方が治療に役立つ場合が少なくありません。
Q.摂食障害に合併症はありますか?
A.摂食障害では身体面と精神面の両方に合併症が認められます。身体の合併症には、大きく分けて低栄養(栄養失調)によるものと嘔吐や下剤の過剰な使用といった排出行動によるものの2つがあります。これらの身体合併症は全身におよび、厳密に区別することは難しいです。無月経や便秘症、体力の低下など患者さん自身が気づきやすいものもありますが、貧血や骨密度の低下(骨粗しょう症)などは自覚症状に乏しく、検査を受けないと分からない場合があります。また、極度に栄養状態の悪い方が、急にたくさんの食事を食べた場合にも、体が変化に対応できずに合併症が発生することがあります。
精神面では気分が落ち込んだり、不安が強くなったりします。食事以外のことに関するこだわりも強くなり、たとえば、手洗いや入浴の時間が長くなったり、ものの置き場所を細かく指定したりするようになることがあります。また、アルコールや薬物の乱用や自傷行為、万引き、暴力などの行動が認められることもあります。
一般に栄養状態が悪いほど、身体合併症の程度も重くなります。さらに、患者さんの考えは柔軟性を欠き、先に挙げたような精神症状も強くなります。(なお、このように低栄養状態が長く続くことにより、精神症状が助長されることを飢餓症候群と呼びます。)
Q.摂食障害の治療に入院は必要ですか?
A.摂食障害は、外来での治療が基本になりますが、以下のような場合は入院治療が必要になったりすすめられたりすることがあります。
  • (1)著しい低体重
    体重が極端に低い場合や、意識障害や衰弱が激しい場合、短期間で体重が急に減った場合は、入院が必要です。外来では、あらかじめ主治医と入院の目安となる体重を決めておくこともあります。
  • (2)検査で著しい異常が見られる場合
    やせや排出行動(自己誘発性嘔吐や、下剤の過剰な使用など)により、低血糖や電解質異常、肝・腎機能障害など、重篤な異常が認められる場合は、突然死の危険も高く、外来治療のみでは非常に危険です。
  • (3)治療上、行動制限が必要なとき
    食後に動かずにいられない、過食嘔吐がどうしても止められないなど、日常生活下で行動のコントロールが難しい場合は、厳格な枠組みのもとに入院治療を行うことがあります。
  • (4)家族の協力が得られないとき(家庭環境からしばらく離れた方がよいとき)
    ご家族と頻繁に衝突してしまう、ご家族が治療に非協力的などの場合は、お互いの休養や環境調整のために入院したほうがよいことがあります。
  • (5)抑うつ気分、自殺の危険、自傷行為、問題行動などが顕著なとき
    この場合は、一般内科病棟ではご本人の安全が守れないこと、専門的な治療が必要になることなどから、精神科での入院が必要になることがあります。
Q.生理が止まりましたがどうすればいいですか?
A.摂食障害ではしばしば月経(生理)が止まります。月経が生じるのに必要な女性ホルモンを作るためには、適切な体脂肪の存在が不可欠です。しかし、神経性やせ症など、極度の低栄養・低体重の状態では、極端に体脂肪が減少しているため、女性ホルモンを作ることができなくなっています。
月経が止まった状態が続くと、身体にさまざまな影響をおよぼします。最も頻度が高く重要な身体への影響の一つとして、骨の密度の低下(骨が弱くなる)があります。神経性やせ症で悩んでいる期間が長いほど骨の密度が低いことや、神経性やせ症の患者さんは普通の人の7倍骨折の危険が高くなるといった報告もあります。そのため、骨を強くするための薬物治療を行うこともあります。
月経の回復を促す治療としてホルモン補充療法があります。しかしながら、低体重の場合は、出血による貧血の助長や体力の消耗など、身体的負担が大きく、おすすめできません。
一般的には標準体重の85%から90%になると月経は回復するとされています。月経の再開には、摂食障害からの回復を目指し、低体重・低栄養状態から回復することが最も重要です。
Q.標準体重に戻れば摂食障害は治ったと考えてよいですか?
A.標準体重まで体重が回復したのなら、生命が危険な状態は脱しつつあるということなので、身体的にはかなり改善してきているといえます。ここまでの努力は大変なものだったと思います。周りの人は、ここまで頑張ったことをぜひほめてあげましょう。
でも、ちょっと待ってください。あなたは今、美味しく食べられていますか?食事を楽しんでいますか?
摂食障害では、しばしば長い経過中に症状が変化します。神経性やせ症でずっと食事を制限していたのに、途中から過食が始まって体重が増えるというのはよく見られることです。こういった状況では、たとえ体重が回復していたとしても、治ったとはいえません。嘔吐や下剤の影響で電解質異常がある場合も治ったとはいえませんよね。そして体重が回復したにもかかわらず、一日中食べ物のことや体型のことを考えているのでは、つらいままです。体重が回復して過食や嘔吐がおさまったあとも、体重や体型・食事へのこだわりやとらわれ、やせたい気持ち、体重が増えることの怖さなどが消えていくまでには、さらに年月がかかることが知られています。また、摂食障害の症状が治まっても、生活していく上での悩みやつらさを抱えている場合も少なくありません。
本来、食は楽しみの一つです。楽しいはずのことがつらく不安に感じるのであれば、まだ病気から完全に抜け出せてはいません。自然にお腹が空いて食べたいものを美味しく食べることができ、勉強や仕事、趣味の活動などを楽しんで充実した生活を送れるようになることが、「治る」ということです。体重が回復することは摂食障害からの回復に必要なことですが、それだけで十分ということではありません。もし今体重が回復し、これからも治療を続けることに疑問やとまどいを感じているのであれば、治療の目的や目標をもう一度考えたり、主治医と話し合ったりしてみましょう。
Q.家族が摂食障害ではないかと思うのですが、病院に行きたがりません。
どうすればよいですか?
A.
  • ○ 病気であること・治りうる病気であることを伝えましょう。
    伝え方の例:「摂食障害という病気のせいで、食べ物へのこだわりが強くなって、体重が少しでも増えるのが怖くなってしまうんだって。摂食障害という恐ろしい病気は1人で治そうとしても難しいから、病院の専門の先生のアドバイスを受けながら、みんなで摂食障害という病気に立ち向かっていけば、治る病気と聞いたよ。病院に行って相談して、楽になって、食事・体重のことにばかりとらわれないようになれたらいいね」
  • ○ 困った症状があるならもっと楽になるために、今後の夢があるならそれを実現させるために、病院に相談に行こうと伝えましょう。
    伝え方の例:「頭の中が食事のことや体重のことばかりになって、なかなか勉強に集中できなくて困っているんじゃないかな。勉強に集中できないのは、摂食障害という病気のせいだから、摂食障害を治していこう。せっかく能力があるのに摂食障害が邪魔しているよ。自分の能力を発揮できるように、病院の先生に相談しに行こう」
  • ○ また、これまで病院を受診しても十分に治療を受けられず失望した経験がある場合は、そのために行きたくないと思っている可能性もあります。事前に病院に問い合わせるなどして摂食障害に対する診療・対応状況を確認した上で受診する方がよいでしょう。
Q.摂食障害について職場や学校にはどう伝えればよいですか?
A.現状では、職場や学校を含めた社会全体において、摂食障害の知識や対応が十分に知られているとは言い難い状況です。そのため、腫れ物に触るように扱われたり、逆にたいしたことない問題ととらえられることもあります。そこで、まずは摂食障害という病気がどんな病気なのかを理解してもらえるような働きかけが必要です。
一つの方法は、主治医がいる場合,職場・学校と主治医で連携を取ってもらうことです。具体的には、職場であれば上司や産業医、学校であれば管理職、養護教諭、担任から主治医に連絡を取ってもらい、
1)どんな病気か?
2)配慮すべき点は?
3)どのような方針・どれくらいの期間で治療がなされるか?
4)制限(禁止)すべきことは?
などのポイントについて情報を得てもらうのです。状態もその時々で変わりますから、可能であれば定期的に連絡を取ってもらうのがよいでしょう。
そして患者さん本人や家族からは、職場や学校において「何に困っているのか?」「どのように対応して欲しいか?」を具体的に伝えて理解を得たり、職場や学校での過ごし方について相談することが重要です。もちろん周囲が対応できることとできないことがあると思いますが、「体型や外見の変化について指摘されること」や「食事を強いられたり、集団で昼食を取ることが求められる」などは本人にとっては周りが考えている以上に負担感を感じる場合がありますから、あらかじめ配慮してもらえるよう伝えておくとよいでしょう。
Q.病院の何科に行けばよいですか?
A.摂食障害の治療を担当する診療科は主に精神科や心療内科、小児の場合は小児科や児童精神科です。しかし、これらの診療科であっても摂食障害に十分対応できないところは少なくありません。病院のホームページで確認するか、電話で問い合わせてから受診されることをお勧めします。地域の大きな病院・大学病院や精神保健福祉センターが摂食障害を相談できる病院の情報を持っている場合もありますので、問い合わせてみるのも一つの方法です。
摂食障害ではないかと思ってもはっきり分からない場合は、まず内科や小児科で相談し、もしそうなら治療している病院を紹介してもらうとよいでしょう。ぐったりしている、意識がないなど生命や身体的な危機がある場合は急いで救急救命センターを受診してください。自殺企図や自傷などの危険な行動がある場合は精神科の救急外来を受診するのがよいでしょう。
現在のところ日本には、摂食障害だけを専門とする治療施設は一か所もなく、摂食障害の診療を公表している施設も多くはありません。どこに相談したらよいかわからない、受診しても断られた、というつらい経験をされた患者さんやご家族は多いことでしょう。摂食障害を治療する医師や医療スタッフ、病院がとても不足していて、希望しても治療が受けられない患者さんが多いのです。
現在、このような摂食障害に対応する医師や施設の不足を解決していくための事業や研究が進められています。