周囲の方へ

学校の先生・スポーツ指導者の方へ

学校の先生へ

自分のクラスや部活に、摂食障害ではないかという児童・生徒がいる場合があると思います。摂食障害の患者さんは、自分からは具合が悪いとは言わないことが多く、家族も気づいていない場合もあります。学校ではどのように対応したら良いでしょうか。学校で気づかれるサインとしては、①やせてきた、②勉強や運動に無理な計画を立てて実行している、③昼食時や放課後などに友だちを避けるなどがあります(「摂食障害のサイン」参照)。

低体重なのに長時間の勉強や運動を自分に課し、睡眠や食事時間が減るのは、過活動という症状です。日課をこなすために人付き合いは避けるようになります。一見、頑張っているように見え、実際、短期には成績が上がることもあるので、「そんなことはやめて病院へ」とは言いにくい場合が少なくありません。しかしこれは症状であり、体重がさらに減る原因となります。養護教諭やスクールカウンセラーと連携し、医療機関を受診するよう本人と家族に促す必要があります。病状により通院頻度は異なります。とにかく一度受診してどのような状態か診断を受けることが重要です。

学校では次のような対応が必要になります。特に病院に受診していない場合には、自分のことを病気とは思っておらず、人と違う扱いを受けることを嫌がり、先生方のアドバイスが受け入れられないこともあります。医療と連携し「今はこうすることが必要」という枠組みの中で対応するのは一つの良い方法です。

  1. 1.過活動
    過活動や過度に完ぺきを目指そうとするのは、摂食障害の特徴です。「意欲は素晴らしいがその計画を実行する体力をつけることが優先」ということを伝えます。ある期間は課題を減らすような対応も求められます。
  2. 2.昼食
    人と一緒では緊張する、食事に時間がかかるなどを理由に弁当をこっそり捨てる場合などもあります。食事時間に保健室を利用してもらうのも一つの方法です。
  3. 3.体育の授業
    体力を消耗する種目は見学が基本です。
  4. 4.部活
    特に運動系の部活では、ある程度体力が回復するまでは休みとし、早く帰宅して食事と睡眠をきちんと取る生活をさせた方が回復はスムーズです。
  5. 5.修学旅行、合宿等
    人と一緒では食事量が減る場合は、栄養剤などの持ち込みが必要な場合もあります。特別対応は難しい場合もあると思いますので、本人、家族とよく話し合います。

治療が始まったら、病院ではどの程度の安静を勧められているかを学校でも理解しておくことは有用です。本人や家族の許可なしに病院と話をすることは難しいので、本人が自分の治療内容を理解し、病院との連携に協力できるのが理想です。

スポーツ指導者の方へ

摂食障害はスポーツ選手の間でも珍しくありません。自分が摂食障害であったことを公にしている著名選手の話を耳にした方も多いと思いますが、一流選手に限った話ではなく、学校・大学の部活動やスポーツクラブに所属する若年者でも起こりうる話です。また、女性でも男性でも起こりえます。記録や対戦成績などに関するプレッシャー、体操競技や中長距離走などでみられるような体型・体重の維持の必要性が、摂食障害のリスクを高めているのではないかと考えられています。

もちろんスポーツやスポーツのための体重コントロールそのものが悪いということではありません。しかし、行き過ぎた体重コントロールや、一人の人間としての選手の存在を忘れ記録や戦績ばかりに目を向けてしまうような指導は望ましくなく、体重や体型よりむしろ本人のやる気や熱心さなどに目を向けた指導が良いとされています。

また、スポーツ指導者は普段から選手の健康状態に注意していることから、小さな変化や摂食障害のサインにも早くから気づきやすい立場であるともいえます。一般的な摂食障害のサイン(「摂食障害のサイン」を参照)のほかに、スポーツに関連することとして、下記のようなサインがあります。

  • ・集中力や筋力、スピードなどの運動能力が低下する。
  • ・肉離れや捻挫、骨折などの故障が増える。
  • ・必要以上にトレーニングし、練習量を減らしたり練習しない日を作ったりできない。

過剰な食事制限や過食、嘔吐や下剤の大量使用、無月経、極端なやせなどを含め、摂食障害のサインに気がついた場合には、ご家族と相談の上、早めに医療機関を受診するように勧めてください。また、学校の先生や養護教諭、スクールカウンセラーの先生とも相談されると良いでしょう。健康状態によっては、スポーツ活動を休止する必要がある場合もあります。

本来健康が増進されるはずのスポーツも、度が過ぎると命の危険につながりかねません。骨粗しょう症など将来に渡る影響が残ることもあります。また、摂食障害は早期に見つけ、治療していくことが大切です。在学中のスポーツパフォーマンスだけでなく、卒業後も含めた健康を視野に入れて、理解と配慮ある指導をお願いしたいと思います。