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摂食障害については、一般の方や時に医療従事者にさえも、さまざまな誤解や偏見があります。誤解や偏見は、患者さんやご家族を傷つけ重荷となるだけでなく、治療や支援を受ける妨げにもなりかねません。摂食障害に対する誤解や偏見を減らしていくには、摂食障害について正しい情報を知り、患者さんについてよく理解することが大切です。摂食障害についてよくある誤解をいくつか挙げて解いていきましょう。

「摂食障害は治らない」という誤解

現に、多くの患者さんが摂食障害から回復し、学校に通ったり、仕事や家庭を持ったりしています。ほかの病気と同じように、できるだけ早く適切な治療を受けることで回復する可能性が高くなります。摂食障害の治療には時間がかかり、ぶり返すことも少なくありません。時に、焦ってしまったり、本当に治るのだろうかと不安に思ったりすることもあるかもしれませんが、患者さんは焦らずあきらめずに治療に取り組み、ご家族は根気強く支えていきましょう。

Q&A 摂食障害は治る病気ですか?治るまでの期間はどのくらいですか?を参照してください)。

「摂食障害は自分でなりたくてなっている。治す気がないのだ」という誤解

患者さんはやせていることや食事制限、過食、嘔吐などが体に良くないことも、そのことによって様々な問題が生じていることにも、気づいている場合がほとんどです。しかし、摂食障害という病気によって生じる恐怖や不安・こだわりの強さに圧倒されたり、病気のせいで物事の見方や感じ方が変わってしまったり、疲労感・満腹感・空腹感などの感覚が麻痺してしまったりして、健康な体を維持することや安心して普通の量を食べることが困難になっています。摂食障害という病気によって生じた考え方、物の見方、行動の仕方が、あたかも自分自身のもともとの性格や生き方であるかのように感じられることもあるようです。しかし、摂食障害から回復し病気から自由になることで、その人の本来の自分や可能性を取り戻していきます。決して自分でなりたくて摂食障害になったわけでも、摂食障害であり続けているわけでもないのです。

「摂食障害は若い女性がかかる病気である」という誤解

摂食障害が男性よりも女性に多いこと、若い人がかかりやすいことは事実ですが、男性や中高年の患者さんも決して少なくありません。最近の米国での調査では、従来考えられていたよりも(女性:男性=10:1)、ずっと男性患者の割合が高かった(女性:男性=3:1)と報告されています。また、若いころに発症して治らないまま年月がたち、中高年になる場合も少なくありません。摂食障害は男女問わず、全ての年代で、誰でも罹りうる病気なのです。

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